本編動画をご覧頂くにはパスワードが必要です。
2つの道路に最大2mの高低差で接する敷地へ建築した住宅。できる限り外部空間を確保することと高低差の大きい道路側に駐車場を設けることを望まれながら、敷地は道路に法面で接し、さらに宅地造成規制を受けていたため、平らな土地を作るためにはコストのかかる土留め擁壁が必要と予想されました。そこで建物に土留め擁壁の機能を持たせ、擁壁に費用をかけないように提案させて頂きました。建物を土留めにするには土にかかる部分をコンクリート造とする必要がありコストがかかりますが、擁壁を作るより合理的で敷地を活かせると判断しました。地上部分は木造としています。その発想から道路に面してL型に建物を配置し、高低差を解消するため一部を地下にしています。地下は低い道路に必要とされていた駐車場の上に建物を載せれば屋根代わりになるという兼ねる発想でもあります。これらの考えからこの住宅は平面的にも立面的にも地形に沿うようにカタチが出来上がって行きました。
内部は駐車場とエントランスのある地下から2mの高低差にある地面に接する1階へ上がり、そこにコモンスペースとなるLDKを配置し、外部庭を一体で使うことができるようにしています。1階は地面に接する部分の高さでは地下の階高を確保できないので、地下のある1.5階部分は80cm床高が上がるスキップフロアとなっています。外観からは屋根の高さが同じなのでこの高低差には気づかないようになっていますが、屋根の高さが同じであることも内部空間が影響していて、1階は家全体の天井を共有しながらLDKの天井高が他の空間より80cm高くなるようにしています。ただLDKが高すぎるわけでは無く、地階上の1.5階にパーソナルスペースを集めることで天井高を2200cm~と低く設定しています。この2200は掃き出し窓の規格サイズに合わせています。1.5階には書斎を兼ねたホールがありますが、少し高い位置から見下ろす程よい距離感で庭を見ることができます。また道路に沿って建てるために2つの軸線を持たせてL型が少し鋭角に曲がっているのですが、これがLDKとの距離を近くに感じさせる効果を与えています。
室内は構造を活かしながら、お施主様の気に入られていた海外のホテルからインスピレーションを受けてコーディネートしながら、私の好きなものを混ぜさせて頂きました。
機能的には地下の外部空間を持つ混構造でありながら高気密高断熱仕様として、Ua値0.43w/(m2K)、C値0.74cm2/m2の数値を確保しています。また冷暖房設備には床下エアコンを採用して外部地下のある個所以外の1階の床下空間が途切れないようにしています。換気設備は天井裏がほとんど無いためダクトレスの1種換気、せせらぎを採用しています。
↑
bookstyle
2023.01 愛知県
住宅(RC造B1F+木造1F) 新築
建築面積/ 143.04㎡
延床面積/ 185.47㎡(56.10T)
← back works